坂の上の雲老舗 食べる2



初めてのデートはイタリヤ軒!親しくなったらひぎりやきかつての松山っ子の恋事情のゆくえは・・・

坂の上の雲 老舗MAP 食べる編②

ひぎりやき・澤井本舗

松山市駅の顔 お土産の定番 ロングセラーの秘密

「お日切りさん」と「ひぎりやき」

澤井本舗(ひぎりやき)澤井本舗(ひぎりやき) 「ひぎりやき」で親しまれている澤井本舗本店は市駅前ロータリーの一角、いよてつ高島屋の前にある。「お日切りさん」でおなじみの善勝寺の隣である。
 入り口から「ひぎりやき」を焼くパフォーマンスが見える。1階奥と2階では、焼きたての「ひぎりやき」が食べられるようになっている。「ひぎりやき」のほかに鍋焼きうどん等もあり、1人、2人だけでもグループでも、いろいろ味わいながら時間が過ごせるようになっている。買って帰って家で食べるのもよいが、焼きたての温かい「ひぎりやき」をほおばるのも、おいしい食べ方である。この日も女性客一人、2人組の男性客がいて、親子連れもいた。ひぎり茶屋の店内1階奥は、多くの客は入れないが、隠れ家風の2階は計61席あって、ゆったり過ごせるようになっている。
 停留所へ近づいた時か、発車の時かは定かではないが、坊ちゃん列車の汽笛が時折聞こえてくるのが、どこかなつかしい気がする。

今昔物語

善勝寺「お日切りさん」でおなじみの善勝寺 元禄年間、悪病が流行ったとき、善勝寺のお地蔵さんに日を切ってお願いすると必ず良くなって悪病が治まるといわれ、参詣人が多く訪れるようになったという。そうしていつしか「お日切りさん」と呼ばれるようになった。この「独立山 知足院 善勝寺」へ参詣の人々にお茶をもてなす店ができ、江戸の神田今川で作り始めた今川焼に似た饅頭が出された。これが「ひぎりやき」である。「ひぎりやき」も今川焼も大判焼も原料、製法はあまり変わらないそうだ。
 戦前は、参道に5~6軒の露天商が店を開いていた。花屋もあったそうだ。戦時中、穀物統制のため「ひぎりやき」は閉店を余儀なくさせられた。現在のタクシー駐車場付近も善勝寺の境内だったが、戦後の強制収用や市駅前のロータリーを造るための区画整理等で立ち退きになった。今、当時の面影はなく店舗も縮小したそうだ。
 戦後は、澤井本舗の現社長の祖父が「ひぎりやき」を再開。昭和30年ごろ、市駅前には食堂が6店舗あった。澤井本舗もうどん、ラーメン、親子丼を提供していたとのこと。「ひぎりやき」が評判になり売れたので、同じような店が3店舗あったが、今は車社会で郊外へ移り澤井本舗のみになった。「市駅前も様変わりしてしまった」と澤井本舗会長の澤井善一氏(72歳)。

運命の出会い

澤井善一氏澤井善一会長 澤井善一会長は若い頃、画家を夢見て東京で学んでいた。その頃、池袋の西武デパートの地下で行列を発見。行ってみると「ひぎりやき」の4分の1くらいの大きさで、しかも花形をした饅頭をオートメ化した機械で焼いていた。早速、父の義雄氏に連絡し上京してもらった。聞いてみると機械は北九州で作っているとのこと。九州に飛び注文。手作りの機械だったので、納入まで一年以上の順番待ちだった。しかし、これが現在のようなオートメ化の発端となった。
 会長は32歳で夢をあきらめ家業を継いだ。絵の道具はすべて父親に処分されてしまったそうだ。そして、1961年から「ひぎりやき」との付き合いが始まった。

あたらしい挑戦

ひぎりやき看板ひぎりやき看板 澤井義雄氏、善一氏、善一郎氏と続いている秘訣は「地道に商売すること。多店舗化、フランチャイズ化し企業として営業するとサラリーマン社長化する。創業家の直系が続かなくなる」と2代目・善一氏の考え。今は目の届く3店舗で営業している。
 現在の社長は、戦後3代目36歳の善一郎氏である。23歳で餡を炊き生地を練り始め社長業の修業をしてきた。28歳で社長に就任。幼い頃から「ひぎりやき」と父親を見て育ったため迷いはなかったそうだ。会長は、社長に相談されればアドバイスするが、任せた以上は口出ししないとのこと。
 北海道十勝産の小豆にこだわったあずきあん、白あん、クリームの伝統の餡のほかに、チョコレート、カレーなどを研究、開発している。松山の顔としての「ひぎりやき」の味を守りながら変化させ、新しいことをとりいれていきたいと、チャレンジ精神旺盛な3代目社長である。目下はインターネット販売にも力を入れている。
ひぎりやき店内の写真店内にある創業の頃の写真ひぎりやき2階ひぎりやき2階ひぎりやきひぎりやき


インフォメーション
有限会社 澤井本舗 ひぎりやき
住所 :愛媛県松山市湊町5-4-1
TEL:089-933-0915
営業時間 10:00~17:00
金曜・土曜日は10:00~21:30
☆「ひぎりやき」テイクアウトは20時迄
★年中無休
ひぎりやきサイトへ
ひぎりやき販売ページへ

取材風景 取材風景 インタビュアー:武智時子

ひぎりやきの思い出

「ホクホクあつあつを伝えたい」

IMG_1031.JPG伊予市の Y.Kさん
 ワクワクする。モクモクと青空に広がる入道雲。
バスに揺られ目指すは松山市駅。
小学生夏休みの終わりのとある一日は、私にとっての一大イベント。それは母親がはしゃぐ弟と僕をしかりながら、贈ってくれたプレゼント。

 コースは決まっていた。市駅でバスを降りて、なぜか美術館に行く。銀天街、大街道で2学期に備える買い物。文房具にシューズ、これだけ!・・・お昼はかめやのうどんが定番。
 時にはご褒美で東映の映画祭りがサプライズ。あっという間の一日はもう夕暮れ。
最後のドキドキは市駅でバスを待つ間に・・・。
「バスがどうか遅れますように・・・」
目の前で「ガチャン、ガチャン」と音がする。そしてふっくらとした「ひぎりやき」が出来上がる。
「はい、ホクホクのひぎりやき」
「あつあつのひぎりやきじゃ、最高!」
「おにいちゃん、美味しいね」
「おまえのあんこ多いな、俺のと変えろ」
ゴツン!母親のこぶしが・・・・。母親の手には家で待つおじいちゃんとおばあちゃんへのひぎりやきが入った箱。ひぎりやきは何個入ってるんだろう?自分の分もあるのだろうかと・・・・
バスに乗り込み、夏休みのプレゼントは終わりを告げる。

今でも母親は松山市に出ると孫の我が娘に「ひぎりやき」を買って帰る。
娘の定番はクリーム入りのひぎりやき。
娘はどんな思い出を語るのだろうか?

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