坂の上の雲老舗 湯 三島湯



初めてのデートはイタリヤ軒!親しくなったらひぎりやきかつての松山っ子の恋事情のゆくえは・・・

坂の上の雲 老舗MAP 「湯」

三 島 湯 

元気な間、利用頂いているお客さんのために

まさに「神田川」の時代に暖簾を継いで…

三島湯男湯、女湯と書かれた暖簾 三島湯 松山・西堀端の電車通り(国道196号)本町4丁目から路地を西側に進むと、正面の突き当たりが鉄筋2階建ての「三島湯」だ。男湯、女湯と書かれた暖簾が、風にふんわりたなびいている。暖簾を目の前にすると、シルバー世代には、また新たな懐かしさがある。

「若かったあのころ、二人で行った、横町の風呂屋…」
「神田川」(昭和48年、かぐや姫) 

 午後3時半から9時半まで開いていると聞いていたので、開店早々にのぞいてみた。番台には、3代目・渡辺政英さんが鎮座していて、「いらっしゃい」と元気よく出迎えてくれた。御年76歳である。番台越しに話を伺った。

松山市内に120軒あった風呂屋が15軒に

3代目・渡辺政英さん3代目・渡辺政英さん 創業は大正7年3月。建物はこれまで3回建て直されている。終戦後、焼け野が原のなか、政英さんの父親が。そして昭和44年、政英さんが、そのころの銭湯としては珍しい鉄筋造に建て替えた。
「終戦間もない頃、一般家庭に風呂はまだ少なかった。銭湯は、松山市内に120軒。300~500m四方に1軒ぐらいあった。風呂代は18円。お客さんは、いわゆる“芋の子を洗う”ようで、日に150~200人いた」
 しかし「新築住宅に風呂が構えられるようになり、客足は減少していった。一般の商売と違って、銭湯ではその変化が極端だった。まるで、月とスッポン。今は日に30~40人。同業者は次々廃業し、残っているのは15軒になった」。銭湯の変遷である。 

サービス施設を設けても、浴客の減少に効果なく

三島湯三島湯 施設内 政英さんは、この変化に手をこまねいていた訳ではない。サービス強化を意欲的に進めてきた。気泡が湧き出る本格的な岩風呂や超音波のバブルジェットの薬用風呂、サウナ風呂など、次々と整備していった。どこも同じだった。
 「三島湯」周辺は、大学生の下宿、アパートも多く、利用者の減少はまだ緩やかだったが、平成になるとスーパー銭湯、温泉ブームなどが追い打ちをかけ、サービス向上策も客離れ防止にはならず、その効果も芳しくなかったようである。 

心をこめた清掃。気持ちよくお客さんを迎えるため

三島湯三島湯 脱衣所 「三島湯」は、昼前から動き始める。浴槽に井戸水を張り、ボイラーを点火。湯の温度は、41、42度に設定。あとは番台で、お客さんの出迎え。番台では、その場で釜の燃焼やエアコン、サウナの運転状況が管理できるように、セットされている。
 夕方6時半ごろ、政英さんと奥さんが当番を交代する。午後9時半、店を閉めると、娘さんが加わって約1時間、浴場を洗浄する。浴槽の水抜き、カルキ消毒、桶やマットなどを洗浄し、翌日の開場準備が完了する。

 「銭湯の形態は、松山市内のどの銭湯に行っても似たようなものです。昔は、社交場のような要素も多かったが、今は、年配の夫婦づれ、独り暮らしのお年寄りが、ぼちぼち、のんびりと楽しんでおられる」。「ゆったり入れる」「お湯がたっぷり自由に使える」「大きな風呂に入るのが好きだ」といった方々が中心である。

 政英さんは、それに応えるため、明るく清潔な浴場の支度に最大の心配りをしている。それが、お客様への感謝だという。浴場のタイルは、磨かれてピカピカ。心のこもったサービスである。

元気な間、利用頂いているお客さんのために

三島湯三島湯 洗い場 「光熱費、燃料代など、ぎりぎりだが、来て下さるお客さんから“続けてください”“頑張ってください”と励まされる。元気な間、そのようなお客さんのためにも、開けていきたい」と、頑張っておられる。

 午後4時過ぎ。銭湯前のベンチに腰かけていたご年配の女性。「朝美町から、歩いて10分くらい。何十年、週に何度か主人と来ています。家から一番近い銭湯です。広くて、ゆっくりできていいですね」。ご主人が出られるのを待っていた。

「いっしょに出ようねと いったのに…」(「神田川」より) 

三島湯三島湯 施設内三島湯 看板


インフォメーション
三島湯
住所:松山市萱町4丁目6-5
TEL:089-925-5093
営業時間:午後3時半~同9時半
休日:第1、第3金・土曜日

「銭湯の日」を決めて…

お茶松山市本町  T・K (65)

 のんびりと、くつろぎのひとときを楽しんでいます。全体に明るくて、岩風呂は、気泡風呂になっていて、気持ちいいですね。サウナも、時々使っています。
 子供家族と暮らしていますが、風呂はどうしても夜更けてからになり、順番待ちでね。ですから、1週間に1度は「銭湯の日」にして、早い時間に入っています。
だんだん、銭湯がなくなっていますが、「三島湯」さんには、もっともっと頑張ってもらいたいですね。 

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